昨日に引き続き、バース大学MBAの「Entreprenership in Action」というグループで企業アイデアを競い合う授業について紹介します。
ピッチ(プレゼンすること)の本番まで残り2週間ほどとなったので、当日、私たちのプレゼンを評価する投資家3名と事前にアイデアについて話し合い、フィードバックをもらう機会がありました。
3人の投資家とオンラインミーティング
各グループ、1回40分ずつ、合計3回の投資家たちとのオンラインミーティングが設定されています。
ミーティング時は、現在のアイデアをプレゼンテーションのスライドを映しながら説明し、実現可能性とか、本番で質問がありそうなところなどを指摘してくれます。
私たちは、不動産市場の乗り込もうという案だったのですが、3人の投資家全員が、
不動産は詳しくないねん
と口をそろえていました。
これはいいことなのか、悪いことなのか・・・
専門家がいない分、当日は突っ込んだ質問が来ないことがわかりますが、その分、不動産市場について、彼らが偏見(バイアス)を持っていることが考えられます。
実際、1人の投資家は、
コロナで、ロンドンから人が流出してるやろ?それなら、ロンドン以外の場所で起業するのか?
と言っていました。私はデータリサーチを担当しているので、この発言は正解であり不正解でもあります。
実際、ロンドンからイギリス地方への流出が、地方からロンドンへの流入を超えてるので、もともとイギリスに住んでいた人は都市離れが進んでいるというデータがあります。一方で、ロンドンの人口は増加しているというデータも。そうです、移民の流入です。
ですので、ロンドンは人気がなくなっているから、投資対象にはならない、という偏見を持っている投資家がいる可能性がありデータで彼らの考えを修正しなければならないと感じました。
これをメンバーに共有しましたが、
イエー、イエー、ザッツライト!
と軽く流されてしまったので、まずはメンバーが持っている偏見をデータによって修正しようと思います。
「Psychology for decision making(意思決定における心理学)」という授業を選択していたので、人は完全ではないという視点から、物事を考えられるようになりました。
ノーベル賞を受賞した著者の「実践 行動経済学」という本が上述の授業の内容と一致しており、この本はとっても面白いので、おすすめです。普段、授業の内容をノートにまとめているのですが、この本は内容が素晴らしすぎて授業ではありませんが、ノートにまとめ、事あるごとに読み直しています。
ちなみに英語では「Nudge」というタイトルで、日本語訳とはまったく違うタイトルです。経済学などと硬い表現がありますが、実際は人間は偏見もあるし、容易に情報に左右されてしまう、うまくこの行動をデザインしよう!という内容でとても読みやすいです。
みんな言ってること違う
3人の投資家からのアドバイスは、完全に違う視点からでした。
社会的価値の説明をしっかりしたほうが良い、というアドバイスもあれば、企業を運営していくにあたっての財務の情報が弱い、という意見、さらには、マーケティングが話にならんといった具合。
皆さん、幅広い視点でアドバイスをしてくれて多角的に私たちのアイデアをアップデートできるので、このミーティングはとてもいい機会。やはり投資家は幅広い考え方を持っているのですね。
と、思いきや・・・
たまたま他のグループの人と話をしていると、それぞれの投資家は他のグループにも、社会的価値、財務、マーケティングについてアドバイスをしていたことが判明。
彼らの得意分野について各グループに同じようなフィードバックをくれたようです。
みんな言ってることがちゃうやん
とクラスメイトは混乱していましたが笑
調査を担当
私のグループは全6人です。
今週はそれぞれのメンバーにタスクを割り振って作業することになり、1人がピッチ(当日のプレゼン)の準備、3人が不動産屋に電話インタビュー、1人がプレゼンストーリーの証拠集め、1人は不明、といった具合。
私は証拠集めを担当することとなりましたので、政府や統計局のウェブサイトを探し回っています。思っていたことと違うデータも出てくるので結構面白い作業です。
以前、ロンドンで仕事をしていた時も、調査チームに所属し同じように政府サイトや統計局、そしてあの時はイギリスがまだEUの一部だったので、EUのウェブサイトも何百回も訪れていたため、今回の作業は楽にできます。
もともと調査のバックグラウンドがあり、どういったデータがどこにありそうか検討がすぐにつき簡単に収集できていたのですが、このような作業は正直誰でもできると思っていました。なぜならば、大学や大学院、MBAで習った知識をまったく使わないからです。パソコンのスイッチを入れ、Chromeを立ち上げ、検索さえできればデータは集められます。
ですが、調査した結果をMBAのクラスメイトに見せると驚かれることが多々あり、私はクラスメイトの中で調査をできる人間として認識されています。
ワイ、これからお前のこと、分析屋って呼ぶわ。クレイジーやで
このグループプロジェクトでは普段発言しない私は蚊帳の外だったのですが、1日の調査結果を見せただけで、会話に名前が挙がることが極端に増え、調査と美しいグラフを作ることにおいては、
さとぼうがいるから問題ないな
と、存在感が増しました。レポートの提出時にメンバーが平等に働いたかどうかを報告しなければならないので、これでなんとか仕事をしたことになりそうです。よかった。
日本人にありがちな「自分を低く評価してしまう悪い習慣」が自分に染みついていることがこの経験を通じて認識できました。ということで、私は、バース大学MBAの学生の中で一番の調査の経験・実績を持ち、誰よりも早く高精度な調査をできる強みがある、と宣言していきます。
つい最近も、自分をアピールすることが全然できていないとメンターの方(指導係のおじさま)に指摘されましたので、欧州にいる以上はこの悪しき(そして美しき)日本の習慣を直していこうと思います。自分に自信を持つこと、これ大事!
一方で、日本ってすごくイギリスで評価されていると感じます!これはまた別のブログで紹介しますね。
ピッチに向けて、急ピッチに(?)作業を進める我がグループ。
果たして、最優秀プレゼン賞はもらえるのでしょうか?